2012年04月18日
魅惑の渓魚
本日もお越し頂き、ありがとうございます
ようやく気候も暖かくなり、仕事もひと段落着いたので
以前からお誘いを受けていた渓流釣行に
ご一緒させて頂くことになった
今回誘って頂いたHN〝川虎さん〟は海に川にと
豊富な経験をお持ちの方で
ご本人曰く、とにかく無類の釣り嫌い(逆)である
向かう先は某河川の支流の奥の奥
一般的に言われる渓流と呼ばれる渓相から始まり
川幅数mの源流まで釣り上がって行く
最初に目指した場所は
昨年の台風による土砂災害で壊滅的な被害を受けていた
一見、水が澄んでいるように見えるが
至る所に土砂が堆積し
真新しい砂が不自然に溜まっていた
以前の渓相に戻るには数年は掛かりそうである
至る所で土砂崩れの傷跡が残り
今尚生々しい現場の状況に
ただ驚くばかりである
メディアでは取り上げられることも少なくなり
もう既に風化が始まっている感が漂う事柄だが
現地では今でも災害との闘いの真っ只中にあることを
去年の大震災と共に、決して忘れてはならない
とにかく、釣りにならないこの川を諦め、別の川に入ることにした
林道を行ける所まで車で上り、そこから渓に入る
夏場でも涼しいという渓谷の空気は
ひんやりとしていて気持ちがいい
山々に囲まれた新鮮な空気を胸一杯に吸い込み
いざ入渓

以前、何度か渓流で餌釣りをしたことはあったが
ルアーで渓魚を狙うのは初めてのこと
とにかく一本釣れれば納得
もっと釣れれば大満足である
右も左も分からない渓流ルアーの世界
経験豊富な川虎さんの言葉を信頼し
足の運びから立ち位置に至るまで
何もかもを言われるとおりにやってみる
まずはお手本に一連の流れを見せて頂いたが
そのお手本中にサクッと一本釣り上げてしまうのは
流石としか言いようがない
「簡単でしょ?」
「・・・」 絶句
ちょっとした滝の落ち込み部分や反転流
岩の陰、流芯などなど
攻め所を丁寧にレクチャーしてくれるが
思った所にキャストが決まらず何度もやり直し
何度目かでようやくいい場所にキャストが決まると
教え通りのトゥイッチを繰り返す
落ち込みの白泡からヒラ打ちしながら出てきたルアーに
背後から忍び寄る影が・・・
あ! チェイスが!
だが、あともう一歩のところで踵を返し
また岩陰に姿を消してしまった
残念ながら食わせるに至らなかったが
私の拙いアクションのルアーに対して
素直に反応してくれたことが嬉しい
思わず声を上げて
「今追ってましたよね!」
と興奮気味に口を開く
チェイスがあっただけなのに
これほど興奮している自分が恥ずかしい
目ぼしいポイントごとに二、三投しては移動を繰り返す
魚は居るのだろうが
その二、三投の内に食わせなければ
すぐにプレッシャーを与えてしまい
たちまちに反応がなくなる
慣れない渡渉に足元を取られながらも
なんとか川虎さんの後ろを着いていく
川虎さんはとにかく私に一本釣らせようと
必ず先に譲ってくれ
私はそれに応えたい一心でキャストを繰り返す
幾つかの小さな滝を渡り歩き
何度かのチェイスの後
遂にその時はやってきた
拙いながらもどうにかこうにかヒラ打ちをしている
その後ろから右に左にルアーの背後を追ってくる
食え!食え!
祈るようにつぶやいたその時
クククンッ!
やっとこさフッキングが決まり
その後は覚えていないが
手元には美しい渓魚が
そして川虎さんと握手をしている私が居た
ルアーで釣った初めての渓魚
久しぶりに見る岩魚は
以前餌で釣ったものとはまた違って
一際感慨深いものがある
決して大きくはないが
私にとって特別な一尾
美しい模様を身に纏った姿に
しばし言葉を忘れ見入ってしまった
ずっと見ていたい衝動に駆られたが
弱らない内にそっと水に返した
その後姿に
ありがとう
思わずつぶやく
その後も
ああチェイスや! ああ帰ってった・・・
キタッ! ああバレた!
などと、魚からの反応があるごとに顔を見合わせ
静かな渓に二人の笑い声が響き渡る
釣れたり釣れなかったりの時間を過ごし
徐々に険しくなる渓を上へ上へと遡る
川虎さんは私が打った後でもしっかりと魚を引き出し
サクサク釣り上げていく
きっとフレッシュな状態で釣っていたら
もっと簡単に釣っていることだろう
少しだけ感覚を掴んできた私も数本追加
涎が出そうな良いポイントに出くわすと
「〆さん、ここはモロタでしょ!」
と川虎さんからプレッシャーが掛けられる
そして、一尾釣る度に
「ね!簡単でしょ?」
「いやいや、まだその言葉は吐かないですよ~」
川虎さんは私に KAN-TAN の二文字を言わせたいらしいが
そんな言葉はとてもじゃないが言えたもんじゃない
とにかく自分のキャストが下手くそ過ぎて
一投で狙ったポイントに入らないのだから・・・
極まれに一投でキャストが決まった時には
決まって魚からの反応があった
やっぱり一投で決めなあかんねんな
う~ん、もっとキャストの精度を上げなければ・・・
私にとっては険しいと思える渓を釣り上り
結果的には10本の岩魚を釣り上げることができた
一旦林道に上がり
ここから先、更に険しくなる渓相を下見したが
正直なところ
これ以上の険しさには体力的に自信がなかったので
今回はここで断念
本格的な源流の入り口を垣間見れただけでも
私の心は十分満たされていた
川べりで食事休憩を取った後
次はアマゴ狙いで別の川に向かい
なんとかアマゴも一尾釣ることが出来た
体側にサビが残る個体だが
アマゴ特有の朱点が鮮やかだ
岩魚とアマゴは習性も異なり
魚の付いている場所が違う
その名の通り岩に付いている岩魚に対し
流れのど真ん中に居るアマゴ
私にはアマゴの方が難しく感じた
そんなこんなで
私の釣果は岩魚10本、アマゴ1本
初めての渓流ルアーの釣果としては悪くはない
私自身は大満足である
釣果も満足だが
美しい景色に囲まれ
楽しいひと時を過ごせたことが
とにかく嬉しい一日だった
それもこれもガイドして下さった川虎さんのおかげです
本当にありがとうございました!!
渓流釣り
ヤバイくらいに楽しいですね
また一つ、禁断の扉を開けてしまった
そんな気がする今日この頃